太陽光発電に蓄電池を加えるメリットとデメリットをお伝えしていきたいと思います。
蓄電池とはその名の通り電気をためておける電池のような装置のことなのですが、これを利用するにあたっていくつか理解しておかなければならないことがあるのでまずはそれを説明していきたいと思います。
電気料金プランには「従量電灯」と「時間帯別電灯」がある
どの家庭でも電力会社と契約して電気を購入していると思いますが、一口に電気を購入していると言っても電力会社にはいくつかのプランが用意されています。
そのプランは大きくわけると「従量電灯」と「時間帯別電灯」の2つになり、「従量電灯」は利用された時間帯に関係無く使われた電気量分だけ電気代がかかるというもので、「時間帯別電灯」は電気を利用する時間帯によって電気代が変化するというものになります。
例えば東京電力の「おトクなナイト10」というプランでは昼間(8時~22時)と夜間(22時~翌8時)で電気代が区別されており、夜間になると昼間の電気代の約半額ぐらいまで安くなります。
これは昼間の電気使用量の方が圧倒的に多くなるためこのような料金設定になっているのです。
22時~翌8時という時間帯は半分以上は電気を消して寝るだけですからね。
蓄電池を設置する場合はこの電気料金の差が非常に重要になってきます。
蓄電池を設置すると「シングル発電」か「ダブル発電」になる
蓄電池を設置すると「シングル発電」か「ダブル発電」のモードを選択することになり(商品によってはどちらか一方のみ)、そのモードの違いにより売電価格が異なってきます。
ダブル発電
ダブル発電は太陽光発電電力の売電と蓄電電力の放電を同時に行うことで、これにより昼間の電気料金が高い時間帯に電力会社からの買い取り量を抑え、売電量を増やすことができるようになります。
蓄電池にためられた電気は夜間の安い電気料金でためられた電気であるため、昼夜の電気料金の差額分だけ得をすることになります。
蓄電池を利用することにより売電量も増えているのですが、2017年(平成29年)の買取価格の場合シングル発電では28円の売電価格が25円(抑制対象地域は30円が27円)まで下がってしまうことになります。
ただし2019年(平成31年)になるとシングル発電とダブル発電での売電価格の差はなくなります。
シングル発電
一方、シングル発電は太陽光発電電力の売電中には、蓄電電力は放電しないシステムのことを言います。
太陽光発電システムの発電電力をまずは自家消費に使用して余った余剰電力を売電し、蓄電電力は売電していない時間帯のみ使用することになります。
発電と放電を同時にできないのでダブル発電に較べて売電量は少ないですが、2018年までは売電価格がダブル発電よりは高く設定されています。
2019年以降になると売電価格がダブル発電と同じ価格になるため、この年以降はダブル発電が主流になると予想されます。
一般的に蓄電池とは電気をためる機能と放電する機能のみを備えたものになりますが、大きな意味では燃料電池も蓄電池として捕らえられているのが現状です。
燃料電池は電気をためる機能と放電する機能に加えて発電する機能があるため、厳密にいうと蓄電池とは異なります。
ダブル発電と検索するとエネ・ファームなどガスなどで発電した電気を使う蓄電池を利用したモデルと、夜間の安い電気で充電した電力を昼間に使うモデルが紹介されているのですが、基本的にはどちらも考え方は同じで電気を蓄える方法が異なるというだけです。
蓄電池を利用するメリットとデメリット
ここまで話が長くなってしまいましたが、蓄電池を利用するメリットは電気料金を節約できる点です。
安い電気料金の時に蓄電池を充電し高い電気料金の時に蓄電池を利用するだけで電気料金をそれなりに抑えることができるようになります。
もちろん蓄電池は太陽光発電で充電することも可能であるため、停電時に臨時で電力源として利用することもできます。
停電時に特に困るのは冷蔵庫の電力確保だと思いますので、12時間ぐらいなら充分利用することができるため非常時に最適です。
一方、蓄電池自体の料金がかなり高めであるというデメリットもあります。
容量にもよりますが、よく家庭に出回っているサイズで100万円から200万円はします。
しかも太陽光発電システムよりも寿命が短く、だいたい5年から10年もたてば使えなくなります。
利用するたびに充電できる容量も減ってしまうため、2017年現在では蓄電池を設置しても元をとることはできないと言われています。
また蓄電池を置くための広いスペースを確保する必要もあり、そのスペースがない家の方は設置することができません。
つまり2017年現在で蓄電池を設置するメリットは非常時用の電源確保ぐらいしかないということになります。
もちろんこれだけでも設置するメリットはあると思いますので、災害時などに備えておきたいという方は設置を検討してみてもいいと思いますよ。